東京独自の「認証園」「小規模認可園」とは? 認可保育園との違い
地方ではあまり馴染みのない認証保育園と小規模認可園。どちらも東京都独自の制度です。
実際に私が認証保育園と小規模認可園で勤務をした経験を元にその特徴と保育の内容、また実際に働く保育士たちの実情をお伝えしたいと思います。
認証保育園は東京都独自の制度です。
国の基準に定められていないため細かく分けると認可外保育園になります。
都市部では国の基準による従来型の認可保育園の設立は土地不足や費用の面でとても困難でした。また、保育時間や入園できる園児の年齢にも制限があり、都民が必要とする保育サービスと実際の提供が噛み合わないことが問題視されていました。
そこで東京都が独自の基準を設定しできたのが認証保育園です。
多くの株式会社を始めとする民間企業が参入できるようにすることで、事業者間の特徴を打ち出し、多様化する保育のニーズに答えられるのではないかという考えが根底にあります。
認証保育園と認可保育園の違いに上げられるのが、まず契約方法の違いです。認可保育園が自治体を通じての申込みになるのに対して認証保育園は園と保護者との直接契約になります。
そして開園時間も認証保育園は13時間開園が義務づけられていて開園時間が長めに設定されています。
また、認可保育園は保育従事者が全員保育士に対して認証保育園は保育時間中、保育従事者の内、保育士は6割で良いという基準があります。
一見、認可保育園と比べるとやや緩やかに感じる認証保育園の基準ですが、その園独自の保育プログラムが全面に打ち出せるというメリットがあります。
たとえば保育士資格を持たない英語や空手の専門家を保育者として招き入れても構いません。
認可保育園だと保育士資格を持った者しか保育ができませんが、認証保育園では保育士資格を持たなくてもその分野にたけている方を保育従事者として雇入れ、その園独自の保育プログラムの導入が可能になりました。
認証保育園は保護者が見て気に入れは直接契約できるため、保護者に選ばれた保育園として保育内容に自信が持てます。
また、13時間開園をすることで認可保育園ではよく見られる二重保育を防ぎ、認証保育園として保護者の就労支援もできます。
私は実際に認証保育園で勤務し、保育士として専門的な保育プログラムを子どもたちに提供できたことと、保護者へきめ細やかな就労支援ができたことが嬉しかったです。
小規模認可保育園とは、待機児童解消のため東京都で平成27年4月よりスタートした子ども・子育て支援新制度の事業の1つです。
認可保育園は最低の定員が20名以上となっているのに対して小規模認可保育園の定員は6〜19人で対象年齢は0〜2歳となっています。
平成27年度の新制度以前は19名以下の小規模保育は認可外保育園でしたが、子ども・子育て支援新制度が施行されてからは市町村の地域型保育事業となりました。
現在、都市部の待機児童の多くは3歳未満の012歳児です。また都市部では土地が不足し従来の認可保育園の設立が難しい面もありましたが小規模園であれば比較的物件が探しやすいため施設が増えることで待機児童が解消できるのではないかと期待が持たれています。
そして小規模認可園は市区町村が認可した認可保育園となるため、入園の申し込み先は市区町村になり、保育料も収入に応じた負担になります。
小規模認可園と聞くと認可保育園が小さくなっただけでは?と思われがちですが、実際に働いてみると想像以上に小規模認可園が抱える課題と小規模認可園だからこその良さが感じられました。私が実際に小規模認可園で働いていた時に感じたことを上げてみたいと思います。
最初に小規模認可園が抱える課題をあげてみると、まず、職員がギリギリの配置で突発的な休みが取りづらく、書類などの一人で記入する負担が大きかったです。
また行事の経験や大人数を保育するという保育スキルが身につきづらいとも感じました。
そして何より職員数が少ない為、人間関係が濃くなりやすく職員間で何かこじれると居心地が悪くなることもあるかもしれません。
また、園児にとっても幼児の異年齢の子供たちと接する機会が少ない為成長の見通しを持つきっかけが少ないことや、施設が狭く、体調不良の園児とそうでない園児とを分けることができず全員への感染症が蔓延しやすいということが不安視されていました。
そして一番の課題は3歳になると転園しないといけない為、保護者が新たに保活を強いられることです。実際に私も保護者の2度に渡る保活を目の当たりにし、歯がゆさのような感情を持ったのを覚えています。
そんな小規模認可園ですが、良さもたくさん感じました。
それは園全体が大きな家のようだったことです。
父母だけでなく祖父母までの顔もすぐ覚える事ができ、誰の送迎でもすぐどの園児のお迎えかが分かります。
また、職員間でのいろいろな情報共有が早く、園児一人一人の個性や特性に合わせたきめ細やかな保育ができます。
何より園児の状況に応じて臨機応変な対応が取りやすく、保育士と園児との愛着関係が構築しやすいといったことです。
また担当保育士だけではなく施設の職員全員と深く関係を築くことができ、乳児期の大切な時期を家庭的な雰囲気の中で職員全員から見守ら過ごせるのはこの上ない環境です。
一人一人をしっかり見ながら保育していきたい方にはおすすめの保育環境のように思いました。
いかがでしょうか?簡単にあげただけでもこれだけあります。
認証保育園と小規模認可園、それぞれ違いはありますが、都市部に多いこの保育の形に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか?
認可保育園とは違い自分の特技や興味をダイレクトに発揮できるのも認証保育園や小規模認可園の特徴だと思います。
今後認証保育園や小規模保育園に転職を希望する際はぜひ採用担当者に実際の園の雰囲気や働き方、実情を質問するのと同時にご自身の特技をアピールしてみるのも良いかもしれませんね。
SAKI
出産を期に一般企業を退職、保育士試験に合格し資格取得。
以来、都内で10年以上保育士として働いている。
管理職の経験や子育てと仕事の両立等、保育士目線で役立つ情報の提供を目指している。
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